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  • 執筆者の写真tsumugi

紡だより Vol.1 一杯の余裕

更新日:2019年1月11日



 「一杯じゃいけんけん、もう一杯飲むだわ」。そそくさと立ち上がろうとする私に煎茶のお代りを入れ、ずらりと並んだお茶請けを勧める。大阪で生まれ育った私が、転勤を機に出雲地方に住み始めてはや15年になります。これまで幾度となく“お茶の文化”に驚かされました。  いたるところでお茶を頂く度に掛けられる冒頭の言葉。特に「朝は必ずだよ」と強調される。いつだったか年配の方に意味を尋ねたことがあります。「昔のお侍さんがお茶も飲まずに出発して、慌てたせいで怪我をしたとか失敗したとかいう話もある。詳しく分からんけど、お茶をゆっくり飲むぐらいの余裕が必要ということじゃないかね」と説明されました。一説には仏様へのお供えと同じで、縁起が悪いとされるとか。一日の始まり。お茶を楽しめるような心持ちでスタートを切れば、見えるもの、感じるものも変わってくるかもしれません。  出雲のお茶文化を見習って私がしていることが今、二つあります。一つは、お店で着る着物。洋服に比べれば着るにも手入れにも手間がかかりますが、お客さんをもてなすためにそれくらいの心のゆとりは持ちたいな、と。もう一つは、朝、通園前の子供と過ごす時間です。元々私が朝が得意だということもありますが、子供を早めに起こして朝ご飯や身支度を済ませ、30分から1時間、じっくり本を読んだり、簡単な勉強をしたり、季節の折り紙を楽しんだりしています。子供の体も頭もフレッシュな朝だからこそ、落ち着いた時間を過ごせるような気がします。  昔と比べ、便利な家電が増え、調べ物や買い物も容易くなったはずなのに、なぜか気忙しく感じる日々。あえて意識して、一日の中で、一週間の中で、お茶をゆっくり飲むような時間をつくることは自分の生きざまを見つめ直すことになるように思います。 (2015.7.10)


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