ぼーくらはみんな生きている。生きているから歌うんだ。(略)手のひらをたいように 透かしてみれば(略) ミミズだってオケラだってアメンボだって みんなみんな生きているんだ 友達なんだ 童謡「手のひらをたいように」の一節です。先日、幼稚園に通う6歳の長女が“9月のうた”の歌詞カードを持ち帰って尋ねました。「お母さん、オケラって何?」。「……。お母さんも知らない。調べようか」。コオロギに近い、バッタ科の昆虫だということです。知らずに歌い続けてきた自分が恥ずかしく、きちんと尋ねてきた娘に我が子ながら、感心しました。ちなみに作詞は、アンパンマンで有名なやなせたかしさんです。 娘の質問は続きます。「はぎって何?」。歌詞カードに載っていたもう一つの唄は「しょうじょうじのたぬきばやし」。その3番に、「しょうじょうじのはぎは つきよだ はなざかり」とあります。確かにコスモスやススキなどに比べ、ハギは子供にとって一般的な花ではないかも。私自身、秋の花だということは知っているけど、姿形がすぐには思い浮かびません。パソコンで画像を検索、さらに植物図鑑でも調べて、秋の七草の一つであり、赤紫の花をつけることが分かりました。 子供の「何?」「どうして?」には毎回、鍛えられます。夕方の忙しい時間帯など正直面倒くさいと思うこともしばしば。でも尋ねられて初めて、知らないことをそのままにしながら生きている自分が、何だかとてもいい加減に思えて背筋を伸ばされるように感じるのも事実です。ずっと昔、父に「知らないことを『知らない』ときちんと言えることはとても大事なんだ」と言われたことがあります。溢れる情報に流されずに、知りたいことをきちんと知ろうとする姿勢はいつまでも持ちたいものです。 「愛って何?」「どうして悪いことしてない人を殺すの?」。辞書に答えが載っていない質問も投げかけられます。問いかけに答えることは、大げさに言えば自分の生きざまを試されているような感じです。答えは一つではないはず。自分の言葉で、自分にしか返せない答えを口にできる大人でありたいです。(2016.9.23)
紡だより Vol.13 知らないことに向き合う
更新日:2019年1月11日
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