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紡だより Vol.6 伝えたい、味と心

執筆者の写真: tsumugitsumugi

更新日:2018年8月27日















 正月の雑煮が、“ぜんざい”だということに驚いたのは出雲に来て間もない頃。高級な十六島海苔のすまし雑煮と共に、今も夫の実家(安来)で頂きます。一方、大阪の私の郷では白味噌仕立てに焼き餅。母亡き後も、実家では彼女の味を思い出しながら再現し、見様見真似でこしらえた数品のお節料理と共に、新年を祝いました。  多忙を言い訳に、食事はほとんどが外食やコンビニで済ましていた若い頃。唯一作れた“もてなし料理”は、母に習った鮭の散らし寿司でした。会社内で同僚と食事をすることになり、新人の私が料理係を拝命しました。硬めに炊いたご飯にすし酢を混ぜ、ほぐした焼鮭、白ごま、生姜と大葉のみじん切りを和える。卵とサーモンを飾って出来上がり――シンプルなものです。恐縮しながら出すと、「“すし太郎”使わない散らし寿司って初めて」と先輩に驚かれました。後に母に聞くと、調味酢と具材が同梱され、ご飯に混ぜるだけで完成する商品を知らず、これまた「そんな便利な物があるの?」と驚いていました。  スーパーには「麻婆豆腐の素」「青椒肉絲の素」など、素材に調味液を混ぜて炒めれば簡単に仕上がる便利商品や、味や衣が付いた魚や肉、レトルト・冷凍食品、種類豊富な惣菜があふれています。夜遅く、仕事を終えて帰宅し、一から食事を作るのって相当エネルギーが要ります。野菜の皮をむいて適当な大きさに切り、炒めたり、煮たり焼いたりして味付けをする。洗い物もたくさん出ます。 でも“素”を活用したり、惣菜を買って来れば、時間も労力も使わず“料理”することができるのです。  私も幼い頃、弟と二人でレトルトカレーを食べた記憶もあるし、最近も帰りが遅くなって惣菜まがいのもので空腹の子供を“誤魔化し”ました。どうしようもない時は活用したっていいと思います。一方、共働きで忙しくて、惣菜ばかり食べていたら太ったという知人男性は、不規則勤務の妻に代わって料理の腕を磨き、減量に成功したとか。健康的な生活を送るために食に関するあらゆる知識を育む――食育の推進が叫ばれる一方で、核家族や共働き、食品加工技術の進化などは家庭の食卓を変えてきました。便利で美味しいものは活用したい。でも、「人を良くする」と書いて「食」と読みます。体と心を育む糧を大事に思う気持ちは忘れずにいたいものです。(2016.1.12)

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